石村博子 「ピリカ チカッポ(美しい鳥) 知里幸恵と『アイヌ神謡集』」

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知里幸恵アイヌのカムイユカㇻをまとめ、日本語とアイヌ語で記した『アイヌ神謡集』は1923年に刊行された本なので、今年で100周年だそう。

知里幸恵についての本や、『アイヌ神謡集』について解説する本は他にも何冊か出ているのだけれど、この本は「知里幸恵の伝記」「『アイヌ神謡集』の解説」に加えて、没後の知里幸恵と『アイヌ神謡集』が現在まで忘れられなかったのはなぜか、そのためにどのような人たちがどのように関わって来たのか、という「受容史」のような内容も含めて幅広く解説しているのが特徴のようです。

それにしても元々病弱だったとはいえ、19歳の女性が一人旭川から東京に上京し、一冊の本をまとめたものの、その完成も待てずに4ヶ月ほどで亡くなってしまった、というのは改めて考えてみても切ないです。なんとかならなかったのか…という気持ちと、それでもこの一冊が残ったことの僥倖に感謝するべきか、という気持ちと。

アイヌ神謡集』は青空文庫でも読めます。

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ですが、中川裕氏による補訂が入った新しい『アイヌ神謡集』が出るので、今後はこちらが決定版になるのでしょう。

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